2010年11月23日火曜日

平成22年度みんぱく若手研究者奨励セミナー「国境を越える市民社会と人類学」

明日から3日間、みんぱく若手研究者奨励セミナーが始まります。
今年度は「国境を越える市民社会と人類学」というテーマを設定しました。
全国から集まった15人の若手研究者の方々が事例報告をおこないます。
【テーマ】
人やモノの関係が流動化した今日の世界において、『国境を越える市民社会』と呼びうる非公式の組織による国際的なネットワークが構築されつつある。その主要なアクターは、マイノリティの権利主張をめぐる組織や運動体、人権問題や人間の安全保障などにかかわるNGOやNPO、地域紛争の当事者、宗教ネットワークなどである。これらの諸アクターは、21世紀の人類学において看過できない事象を世界各地のさまざまなフィールドで構築している。今回のセミナーでは、そうした国際的なネットワークによる運動や実践、あるいはそれらをめぐる地域社会の葛藤や紛争に焦点をあてた研究を募集し、新たな市民社会が構築されるなかで人類学が可能なアプローチについて検討する。
http://www.minpaku.ac.jp/common/wakate_seminar2010.html

「アフリカの角、難民の文脈」−第1回長崎大学学術セミナー

6月に第1回長崎大学学術セミナーでダダーブ難民キャンプにおける難民と地域住民との間の社会経済的な関係について報告させていただきました。増田さん、真城さん、本田さんありがとうございました!
http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/gcoe/activities/seminar/nuas1st_j.html

アフリカ難民問題の課題

ダダーブ難民キャンプの食糧配給センター付近
アフリカ難民問題の課題は、難民として暮らす状態が長期にわたる状況にどのように対処したよいか、明確な答えが出ていない点にある。難民となった人びとの一部は帰国することも、別の国に移住することもできず、難民キャンプで先の見えない暮らしを続けている。この問題に対処するため、難民と難民を受け入れる地域社会の双方を支援の対象とする「難民の地域統合を通じた開発」が注目されている。

フィールド紹介−世界最大の難民キャンプ

ダダーブ難民キャンプから別のキャンプに移送されるソマリア難民


ダダーブ難民キャンプの位置
ケニア共和国・ガリッサ県に位置するダダーブ難民キャンプは1992年に建設された。現在までに多くのソマリア難民を受け入れており、2010年の難民キャンプの人口は30万人を超えている。難民キャンプには国際社会からの支援によって水道、学校、病院、市場などが整備されている。しかしケニア政府は難民のキャンプ外への移動を禁止している。この場所で長い人は約20年ものあいだ難民として暮らしてきた。